台湾大地震、世界の半導体市況に一定の影響か

TSMCは一部設備が損壊との情報も

(台湾中央気象署より)

中国台湾当局の発表によると、3日午前7時58分ごろ、東部の花蓮県海域でマグニチュード7.3の地震が発生した。花蓮市では建物が倒壊するなど大きな被害が出ている。台湾には台湾積体電路製造(台積電・TSMC)など多くのファウンドリーやパネルメーカーが集積しており、世界の半導体産業への影響も懸念される。

台湾中央気象署によると、台湾全土で激しい揺れを感じ、最大の揺れは花蓮県和平郷で震度6強を観測した。その他、宜蘭5強、苗栗5強、台中5弱、彰化5弱、新竹5弱、桃園5弱、台北5弱、台東M4弱、嘉義4弱、雲林4弱、高雄4弱、台南4弱、屏東4弱など。各地でビル建物や家屋が倒壊するなどしたほか、台北市の地下鉄は運行を停止した。

台湾は世界的な半導体やパネル工場が集積する。半導体製造は要求精度が非常に高いだけでなく、同時にプロセスの最初の部分はより多くの化学物質やガスを使用し、地震の震度が大きければ、機械の故障、化学物質やガスの漏れの問題が発生する可能性があり、生産中断などの問題が発生する可能性がある。

台湾の半導体メーカーの分布を見ると、地震の最大震度域である花蓮地区では、DRAMメーカーの南亜科技を中心に、友達光電(AUO)などのパネルメーカーが花蓮に工場を持っている。一方、半導体メーカーが集まる新竹、桃園、台北エリアでも、地震の揺れは震度5弱に達し、関連メーカーに一定の影響を与えることも予想される。

台湾の聯合報によると、TSMCなどが工場を構える新竹サイエンスパークは同日、「工場の水道、電気、下水処理場、高校、幼稚園などの施設に異常はない」と発表している。

竹南パークに入居する群創光電(Innolux)、力晶積成電子製造(力積電、PSMC)、TSMCの最先端封止工場「AP6」、LED製造の晶元光電(Epistar)の太陽光発電などの工場はいずれも、工場関係者が地震発生時に一時避難し、一部の機械は通常の予防的シャットダウンを行ったが、異常はなかったとしている。

PSMCは「人的被害はなく、生産ラインにも支障はないが、石英炉の炉心管に損傷がないか、機械の機器に損傷がないかを確認する」との回答。半導体封止・検査の京元電は「負傷者なし、ライン停止なし、石英炉管の損傷なし、機械設備の損傷なし、その他の災害なし」と回答している。

宜蘭パークと新竹生物医学パークのメーカーに異常はなかった。 龍潭パークでは、工場関係者は全員避難し、一部の機械は通常の予防停止を行ったが、異常はなかったとしている。

■TSMCの損害は最大6000万米ドル予想

鈦媒体APPによると、台湾機構研究部は、TSMCの工場はマグニチュード7に耐えられるように設計されているものの、現地調査で一部の半導体工場で石英管の破裂やシリコンウエハーの一部が破損したことが分かったとしている。TSMCは、点検を行うために同日は稼働を中断したが、中断時間は約6時間以下と短く、TSMCの第2四半期の業績に与える影響は粗利率の影響は0.5%未満、約6000万米ドル(約90億9420万円)程度になると予測した。

一方、別のアナリストは、TSMCは設備の再点検や修理などでデバッグする必要があるため、米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)のGPU(画像処理半導体)チップなど向けの生産スケジュールが遅延し、GPUやストレージも値上がり圧力に直面するだろうと分析している。デバッグ期間は短くても1カ月、長ければ3カ月続くとみている。

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