中国でEV市場が急減速、BYDの値下げ競争に他社追随
中国で電気自動車(EV)市場の急減速し、メーカー同士価格競争が激化している。EV最大手の比亜迪(BYD)が春節明けの2月中旬、「ガソリン車よりも安いEV」をキャッチフレーズにした新モデルを発表したことで低価格競争が加速し、上汽通用五菱汽車(SGMW)などの新エネ車メーカーが相次いでBYDの値下げに追随している。
EVの価格競争を後押ししているのは、今年に入ってからのEV市場の低迷と共に、車載電池の主要原料であるリチウムの相場下落もある。鉄鋼関連産業向けに市場情報を提供する上海鋼聯電子商務によると、車載電池向け炭酸リチウム価格は2月20日時点でトン当たり9万7,000元(約202万6,000円)と、高値時の60万元の6分の1に下落した。
EVメーカー、零跑汽車(Leapmotor)の曹力副会長は1月中旬、同社のリン酸鉄リチウムイオン電池セルの調達価格が1ワット時(Wh)当たり0.4元となっており、今年中にさらに下落するとの見通しを示した。中国車載電池大手の寧徳時代(CATL)の新型リン酸鉄リチウムイオン電池も、電池セル価格を1Wh当たり0.4元以内に抑えた。
EV普及の壁となってきた充電問題も年内に解決に向かう見込みが出てきた。交通運輸部はこのほど、今年は全国の高速道路サービスエリア(SA)の充電ポールを3,000カ所、充電駐車スペースを5,000カ所増やすとする年間目標を発表した。上海市、吉林省、広東省深セン市といった地方政府もEV用充電施設の建設目標を独自に定めた。
■EV市場が急減速
中国でEV市場が急減速している。BYDが今月1日発表した2月の新エネルギー車(NEV)の新車販売台数は前年同月比36.8%減の12万2311台だった。中国乗用車協会のデータによると、米テスラも不振で、中国製EVの2月販売台数は19%減の6万365台で、22年12月以来の低水準だった。
中国汽車工業協会によると、23年の中国の新エネ車生産台数は前年比35.8%増の958万7,000台、販売台数は37.9%増の949万5,000台だった。