ミニLEDテレビ市場、中国勢が躍進
ミニLEDテレビ市場で中国企業が健闘している。2023年1~9月は、海信(ハイセンス)、TCL、小米(シャオミ)、創維(スカイワース)といった中国ブランドが軒並み販売を大きく伸ばし、首位を走るサムスンのシェアを削り取った。
米調査会社DSCCが21日に発表した統計によると、23年1~9月の世界のミニLEDテレビ市場のメーカー別シェアは、サムスンが39%、海信が27%、TCLが26%、ソニーが4%、LG電子が1%だった。
サムスンは、「Neo QLED」が大ヒットした昨年に70%のシェアを独占したが、今年はコンシューマーエレクトロニクス(消費者用電子機器)の世界需要の縮小を背景にテレビ出荷台数が26%減少し、大きくシェアを落とした。その一方で、海信とTCLの中国2社はシェアを大きく伸ばした。海信のミニLEDテレビ出荷台数はわずか1年間で19倍、TCLは同2倍に増えた。
ミニLED技術は、光源となるLEDチップを1,000分の1mm(マイクロメートル:μm)級にまで微細化したもので、LCD技術を延伸したものと言える。中国はLCD生産能力において、京東方(BOE)、TCL華星、維信諾、恵科、天馬など大手で世界の7割近いシェアを独占しており、この優勢がミニLEDテレビ市場でも踏襲された構図。中国が苦心して創り上げた垂直一体型のサプライチェーン(供給網)も中国ブランドが勢いづく後押しとなった。
今年第3四半期(7~9月)のハイエンドテレビ市場では、ミニLEDテレビの世界出荷台数が前年同期比26%増の90万5,000台となり、有機ELテレビの136万台に迫った。中国ブランドは、ミニLEDテレビ市場での優位性を活かし、サムスンとLG電子が主導するハイエンドテレビ市場に挑む構えにある。
22年は、TCLのテレビ出荷台数がLG電子を初めて上回って世界2位に躍進した。今年は海信が3位に浮上している。