対中規制強める米国は「ジレンマ」=中国調査会社
中国の半導体市場調査会社の「芯謀研究(ICwise)」は29日、「対中半導体輸出規制を強める米国は、ジレンマに陥っている」という趣旨のリポートを発表した。米国の半導体製造装置メーカーが中国市場を渇望する状況下でも、米政府は振り上げた拳を簡単に下ろさない構えにあり、米国政府の「中国締め付け」は、進退窮まる状況に陥ったとしている。
海外メディアは今月17日、米半導体製造装置メーカー最大手のアプライド・マテリアルズが対中輸出規制に違反した疑いで米司法省の刑事捜査を受けていると報じた。韓国の子会社を通じて、中国企業に機器を販売した疑い。
米規制下にある中国では、政府主導で半導体国産化が進められており、半導体製造装置の需要は急速に拡大している。芯謀研究の統計によると、2020年に154億1000万米ドル(約2兆2,706億円)だった中国半導体メーカーの設備調達額は、23年の年初累計で299億米ドルと9割増加した。
米政府が22年10月に中国向け半導体関連の輸出管理規則を発表した1カ月後、アプライド・マテリアルは同規制によって自社が2023年会計年度に被る損失額が最大で25億米ドルに達するとの試算を公表した。この額は、同社の22年の売上高257億8500万元の1割に迫る規模だ。
中国市場における米国製半導体製造装置のシェアは、20年の53%から23年に43%に低下した。米制裁を受けて、中国企業は半導体製造装置の調達先を米国から日本やオランダに置き換えており、日本の同シェアは17→21%、オランダは16→19%に拡大した。さらに国の支援のもと、中国の半導体製造装置の国産化率は上昇しており、同国における国産製造装置の売上高は20年以降の3年で3倍強に増え、シェアは7→11%に上昇した。
米国が巨大市場を犠牲にしてまでも中国に制裁を科し、中国の装置メーカーが急成長を遂げるという現在の局面は、米中半導体摩擦が膠着状態に陥ったことを意味している。この膠着状態は遅かれ早かれ崩れることは必然であり、米中のどちらか一方に先に新たな変化が生じるだろう。