米の半導体規制強化、中国独自の供給網構築後押し=中国メディア
米国商務省産業安全保障局(BIS)が17日に発表した中国向け半導体関連の輸出管理規則の改定版は、人工知能(AI)向けに使われる先端半導体の輸出をより厳しく制限する内容が盛り込まれた。中国のITネットメディア、集微網は、短期的には中国のAIチップメーカーの競争力低下につながるものの、影響は暫定的であり、半導体サプライチェーンに関わる国内企業が一致協力すれば、健全かつ完全な中国独自のサプライチェーンを築き上げることができるとの論説記事を掲載した。
同記事によると、米の半導体規制強化を受けて、中国のAIチップメーカーは、最先端半導体の開発に不可欠なEDA(Electronic Design Automation)ツールを海外から輸入することができない上、製造段階でも先端プロセスを採用することができなくなる。
中国の半導体の専門家は、EDAツールの国産化を急ぐとともに、米国技術に依存しない、独自の先端プロセス受託製造ラインの構築に力を入れ、テープアウト(半導体製造工程における設計の最終段階の区切り)を後押しする環境を整えるべきと指摘。併せて、企業や領域、業界の垣根を越えた包括的な協力関係を構築して、半導体業界全体を底上げしていくことを提唱した。
米国の対中制裁がエスカレートするなか、中国のAIメーカーとGPU(画像処理半導体)メーカーは技術開発に積極的に取り組んでいる。華為(ファーウェイ)、阿里巴巴(アリババ)、百度(バイドゥ)、騰訊(テンセント)はすでにAIチップを自社開発した。
AIチップ開発企業には、中科寒武紀科技(カンブリコン)、長沙景嘉微電子、海光信息、武漢芯動科技(InnoSilicon)、燧原科技、瀚博半導体(Vastai Technologies)、沐曦集成電路、上海壁仞科技(BIRENTECH)、摩爾線程智能科技(Moore Threads)、上海天数智芯半導体などがそれぞれアーキテクチャーの革新、設計、ファウンドリー、アプリケーションの各レベルで成功を収めている。
中国のAI向けアクセラレーターチップ市場は急拡大期にあり、2023年上半期の販売量は50万枚を超えた。技術面でみると、GPUアクセラレーターチップが9割を占め、ブランド別では、中国ブランドが5万枚を超え、10%のシェアを確保した。
記事は、「米政府の対中半導体規制強化に対して、一部の米企業は『中国主導の半導体ビジネス生態系を育てることにつながる』との懸念の声が上がっており、この懸念はそう遠くない未来に現実となる。制裁の作用が大きければ大きいほど、副作用は強力化する」と締めくくっている。