EV部品を一体成形、「ギガキャスト」巨大市場狙う中国企業

拓普集団がダイキャストマシンで実現したギガキャスト(同社より)

自動車業界で、従来は多くの部品と工程でつなぎ合わせていた車体パーツを一度の鋳造で一つの部品として製造する新しい技法「ギガキャスト」の採用が広がっている。世界で最も激しい自動車販売競争にさらされる中国でも、巨大なブルーオーシャン市場と見なして、国内上場するギガキャスト関連セクター40社が商機をうかがっている。

トヨタが同技術の導入を業界に先がけて表明し、米テスラもメガキャストの技術でブレークスルーを得たと発表した。ギガキャストはEVのコストダウンと工程短縮による生産効率のアップが期待できるだけに、中国でも採用率が高まりつつある。

乗用車市場信息聯席会によると、中国のEV業界におけるギガキャスト採用率は2021年に6%だった。2025年には、フロントフロアパネルで15%、リヤフロアパネルで31%、バッテリーケースで35%に達すると見込まれる。

集積網によると、ギガキャストの市場規模に関しては、中国の市場調査会社「智研咨詢」が、2021年に85億元(約1,733億円)の規模だったと報告。中国汽車工業協会は25年に323億6,000万元に達すると予測している。業界内では、2030年に1,900億元に迫るとの見方もあるなど、巨大なポテンシャルが期待されている。

ギガキャスト技術は、材料、金型、ダイカストマシンなどのセグメントから成り立っており、中でも大型構造部品を一体成形する大型ダイカストマシンが鍵を握る。中国上場企業では、広東省仏山市の設備メーカー、伊之密(YIZUMI)が主要サプライヤーで、第一汽車集団に向けて開発した9,000トンの大型マシンが小ロットの試験生産を始めたほか、長安汽車と共同で開発した2台の7,000トン級マシンが稼働中だ。

材料分野では、アルミ二次合金メーカーの立中四通軽合金集団(立中集団)や文燦集団、金型は旭升股フン、拓普集団といった実力派企業が揃っており、中国国内でほぼ完全なサプライチェーンが出来上がっている。

一方で車体パーツの一体化で部品点数が減ることになり、削減対象となりうる国内の自動車部品サプライヤー企業からは先行きを懸念する声も出ている。

宁波拓普集团股份

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