米国、ベトナムの半導体拠点化狙う 技術者不足が課題

訪米していたベトナムのファム・ミン・チン首相(ベトナム政府の公式サイトより)

米国とベトナムはこのほど、半導体サプライチェーン(供給網)の強化などを含む包括的戦略的パートナーシップを締結した。米国はベトナムを半導体の生産拠点として成長させる狙いだが、業界関係者やアナリストからは、ベトナムの技術者不足が大きな課題となるとの指摘がある。

米国は半導体分野でベトナムと新たなパートナーシップ関係を構築し、サプライチェーンの強靭化を図る計画。今回の提携では、ベトナムの半導体技術者育成に200万米ドルの資金を提供する内容も盛り込んだ。同資金は、CHIPS法によって創設されたITSI基金から拠出される。

米国・ASEANビジネス評議会ベトナム事務所のVu Tu Thanh代表によると、ベトナムの人口は1億人を超えるが、ハードウエア技術者の数は5,000~6,000人にとどまり、今後10年間で必要とされる水準の10分の1程度に過ぎない。同国では、半導体セクターで必要な熟練技術者の数が5年後に2万人、10年後には5万人に膨らむと見込まれている。

24日付騰訊網によると、業界専門家は、ベトナムには半導体製造に関する課程が少なく、学生の間でも半導体技術職に対する認識は低い。必要な労働力を最短で獲得する方法は、電気分野などその他のエンジニアを半導体エンジニアとして再教育することだと指摘した。

米国は、ベトナムの半導体産業のどの分野を優先的に育成するかを明らかにしていないが、米国の業界関係者は、後工程が重要な成長分野だと指摘した。もっとも、このプランを進める上では中国の存在感が大きい。ボストン・コンサルティング・グループによると、2019年時点で、世界の半導体後工程の67%が中国と台湾にあり、米国の割合はわずか2%だった。これは、半導体セクターにおいて、組立工程は製造工程に次いで最も地域的な集中度が高いセクターとなっていることを説明している。

ベトナムの計画投資省(MOPI)の国家イノベーションセンター(NIC)は18日、半導体の設計を支援するソフトを扱う米Synopsys(シノプシス)とベトナムの半導体産業を支援するための覚書(MoU)を締結した。シノプシスは、NICによるベトナムでのIC(集積回路)設計のインキュベーション・センター設立を支援する。

Thúc đẩy đầu tư, hợp tác xây dựng trung tâm tài chính

Tags: , ,

関連記事