中国で水素エネルギー産業加速、潜在市場は10兆元規模

中国で次世代のエネルギーとして期待される水素の開発・応用が急ピッチに進んでいる。

中国では今年に入り、水素エネ産業の川上に属するグリーン水素開発プロジェクトが続々と立ち上がっている。グリーン水素は、水を風力・水力・太陽光などの再生可能エネルギーで電気分解し生成された水素を指す。コストの高さがボトルネックとなってきたが、業界関係者の間では、グリーン水素の生産能力が拡大されるにつれ、この問題は解決されるとの見方も出ている。

中国電力建設は4月5日、内モンゴル自治区満州里政府との間で、風力・太陽光発電と水素製造を一体化させたモデルプロジェクトに関する投資契約を交わした。水素製造能力は年間6万トンを計画する。

翌日の6日には、晶科電力科技(ジンコー・パワー・テクノロジー)が内モンゴル自治区赤峰市巴林左旗政府と、同じく太陽光・風力で水素を製造するプロジェクトに関する契約を締結した。

一方、水素エネルギーの応用も各分野で進んでいる。宇通商用車は2月16日、建設会社の河南淄翎建筑工程に水素燃料電池大型トラック40台を納入した。自動二輪車分野でも、複数の企業が水素燃料電池搭載車の開発に乗り出した。

中国の国有発電大手である三峡集団は3月、中国初となる500キロワット水素燃料電池動力作業船が進水したと発表した。

中国政府は2022年3月、国家水素戦略となる「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021~35年)」を発表し、国家レベルで水素エネルギー産業を発展させていくための道筋を示した。

各地方政府も水素エネルギー産業を第14次五カ年計画(21~25年)期間中の発展計画に盛り込み、水素エネルギー産業を強力にバックアップ。単一プロジェクトに最高1,000万元超の補助金を給付する地方政府も出てきた。

今年に入っても「水素重視」の姿勢は続いている。科学技術部ハイテク技術局が今年3月に発表した統計に基づくと、「水素エネルギー産業発展中長期計画」が発表された昨年3月以降に地方政府が発表した水素関連の支援条例は、累計で70種あまりに上る。

騰訊網によると、中国科学院アカデミー会員の欧陽明高氏は、5月に広東省仏山市で開催された「2023世界水素エネルギー技術会議」で、「水素エネルギーには、10兆元(約198兆円)規模の潜在的な産業クラスターが存在する」との予測を示した。

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