HBM、27年にDRAM総生産能力の約30%に=サムスン予測

韓国サムスン電子の金泰宇(Kim Taewoo)執行副社長はこのほど、AI需要の拡大を背景に2027年にはHBM(高帯域幅メモリ)が業界全体のDRAMウエハー総生産能力の約30%を占めるとの見通しを示した。現在の約20%から大きく上昇する。

サムスン自身については、HBM4およびHBM4Eシリーズが全HBM出荷量に占める比率が、今年の約40%から来年には約80%へ急上昇する見通しだという。

HBMはAI計算を支える重要部品だ。メモリチップを垂直方向に積層し、シリコン貫通電極(TSV)などの技術で複数のチップを相互接続することで、プロセッサーが大量のデータに高速アクセスできるようにする。AI大規模言語モデル(LLM)の学習・推論需要が急拡大するなか、HBMはクラウド事業者やAIチップメーカーが競って確保する戦略物資となっている。

現在、世界のHBM市場では韓国のSKハイニックスが主導し、サムスン電子と米メモリ大手のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)が続く、3社による競争の構図となっている。SKハイニックスは、HBM3およびHBM3Eで先行したことを強みに市場シェア首位を維持しており、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)などAIチップ大手の中核サプライヤーとなっている。

HBM4で巻き返し狙う

サムスン電子は対抗策として、近年HBM分野への投資を拡大している。HBM3Eの量産認証を積極的に進めるとともに、次世代のHBM4への移行にも注力している。同社は既存の生産能力を転換し、平沢(ピョンテク)P4工場を拡張することでHBMの生産能力を高めている。現在は戦略の軸足をHBM4シリーズへ全面的に移している。

HBM3およびHBM3Eの世代では、認証の進捗などを理由に、サムスンはNVIDIAのサプライチェーンで競合のSKハイニックスに後れを取った。

今回、HBM4に生産能力を大きく振り向け、量産出荷と大口顧客による認証を先行して開始したのは、次世代技術で先行することで劣勢を挽回し、HBM市場で主導権を取り戻す狙いがある。サムスンは今年2月、世界に先駆けてHBM4の量産出荷を開始した。その後4カ月間で約10億ドル(約1570億円)の売上高を計上し、年間売上高は100億ドルに達する可能性があるという。

クラウド大手の自社AIチップもHBM需要を押し上げ

米Google(グーグル)のTPU、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のTrainiumおよびInferentia、Microsoft(マイクロソフト)のMaia、Meta(メタ)のMTIAなど、大手クラウド事業者は近年、調達コストを抑え、NVIDIA製GPU(画像処理半導体)への過度な依存を減らすため、自社開発のASIC(特定用途向け集積回路)を急速に拡大している。こうしたAIアクセラレーターも、LLMの学習・推論で求められる極めて高いメモリー帯域幅に対応するため、最新世代のHBMを搭載する必要がある。

この大きな潮流は、NVIDIAのサプライチェーン外に位置するサムスンなどのメモリーメーカーにとって、大幅な追加需要を生み出す可能性がある。

標準DRAMの供給を圧迫

一方、HBMがDRAMウエハー生産能力に占める割合が20%から約30%に高まれば、標準DRAMに振り向けられる生産余力は明らかに縮小する。アナリストは、この構造変化が複数の連鎖反応をもたらす可能性があると指摘する。

まず、標準DRAMの供給が逼迫すれば、市場価格が上昇し、メモリーメーカー全体の売上高を押し上げる可能性がある。一方、これまでDRAM需要の大部分を占めてきたスマートフォンやパソコン市場は伸び悩んでいる。これに対し、AIサーバーでは高帯域幅かつ大容量のメモリー需要が旺盛で、半導体メモリーの生産能力配分の考え方そのものが変わりつつある。

サムスン電子にとって、HBMへの投資は市場シェアの問題にとどまらず、AI時代のメモリー産業でどのような地位を占めるかを左右する重要な取り組みとなる。HBM4の開発競争が本格化するなか、サムスン、SKハイニックス、マイクロンの競争は、2026年から2027年にかけてさらに激化すると予想されている。

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