サムスンのファウンドリー事業の赤字、米テイラー工場での2nm量産が打開策となるか

韓国サムスン電子のファウンドリー(半導体受託製造)事業は、長期にわたり赤字が続いている。2025年の同事業の営業損失は約6兆ウォン(約2880億元相当)に達する見通しだ。ただし、今年から2ナノメートル(nm)プロセスが本格稼働することで、赤字規模は約3兆ウォン(約3000億円)まで縮小すると予想されている。
サムスン電子は、2026年下半期に2nm先端プロセスの量産を開始する計画を明らかにしている。1月29日に開催された2025年第4四半期(10〜12月)決算説明会で同社は、「第2世代2nmプロセスの開発は順調に進んでおり、すでに歩留まりと性能の目標を達成した。26年下半期の量産開始を目指している」と説明。「主要顧客と連携し、製品設計における性能・消費電力・面積(PPA)の評価やテストチップの検証を同時並行で進めており、量産前の技術検証は計画通りに進行している」としている。
サムスン電子は、米テキサス州テイラーに建設中の新工場で、2nmプロセスによる半導体量産を準備している。26年はサムスン半導体部門が米国で事業を開始してから30周年にあたり、テイラー工場の稼働を新たな飛躍の起点としたい考えだ。
テイラーの先端ファウンドリー工場は総投資額370億ドルに上り、3nm以下の最先端プロセスラインを構築し、AI(人工知能)や自動運転など高性能計算(HPC)分野の需要に対応する。現在は最終準備段階にあり、26年の稼働開始が見込まれている。25年7月には、米Tesla(テスラ)の自動運転向けAI6チップを含む受注を獲得し、長期低迷していたサムスンのファウンドリー事業に回復の兆しが見え始めた。
米国市場で競争激化
一方で、米国市場におけるファウンドリー競争は一段と激化している。
ファウンドリー世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)は先行して大規模投資に踏み切った。1月15日に発表した25年第4四半期決算では、520億〜560億ドルという過去最大規模の投資計画を公表している。
技術面での差も大きな課題だ。サムスンの2nmプロセスの歩留まりは約50%とされ、TSMCの70〜90%という水準には大きく及ばない。
市場シェアの差も顕著で、25年時点でTSMCは世界ファウンドリー市場の70%を占める一方、2位のサムスン電子は7%にとどまり、その差は63ポイントに達している。さらに、米政府がIntel(インテル)を全面的に支援していることも、サムスンにとって競争圧力を強めている。米政府はインテルに約89億ドルを投資し、最大株主の一角となっている。
加えて、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)も約50億ドルを投じてインテルに出資し、技術協力を進めている。最近では、エヌビディアが次世代GPU(画像処理半導体)アーキテクチャ「Feynman(フェインマン)」の一部半導体製造に、インテルの最先端Intel 14A(1.4nm)プロセスを採用する可能性があるとの観測も浮上している。
市場関係者は、サムスンのファウンドリー事業が立て直しを果たすには、先端プロセス技術の実力を実証することが不可欠だと指摘する。その試金石となるのが、テスラから受注したチップの生産実績だとみられている。
もしサムスンが2nmプロセスによるテスラ向けAI5チップを安定的に量産できれば、他の大手テック企業からの受注拡大につながる基盤を築ける可能性がある。
25年には、サムスンとテスラが総額165億ドルの半導体供給契約を締結しており、2nm技術の信頼性向上に寄与している。最近では、Google(グーグル)やAMDなどとも2nmプロセスを用いたAIチップ量産について協議していると報じられている。
また、サムスン電子は、半導体設計から受託製造、メモリ、先端パッケージングまでを一体で提供する「ターンキー型」ソリューションを強みに、競争力強化を図っている。これはTSMCにはない、サムスン独自の差別化要素とされる。
サムスン電子ファウンドリー事業部のカン・ソクチェ副社長は、「今年はHPCおよびAI向け2nmプロセスの受注案件数が前年比で130%以上増加する見通しだ」と述べた。さらに1.4nmプロセスのロードマップについても言及し、「1.4nmプロセスは現在開発中で、29年の量産開始を目標としている。計画通り大きな進展が得られている」と説明したうえで、「27年下半期には顧客向けにPDK(プロセス設計キット)1.0版を提供する予定だ」と語った。
米国は国内チップ生産比率を約30%まで引き上げることを目標とし、TSMCが対応しきれない部分をサムスンに補完させたい狙いがあるともみられており、サムスン電子の技術力確保は喫緊の課題だ。



