アリババ、自社開発AIチップ「真武」を公開

中国IT大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)傘下で、半導体設計を手掛ける平頭哥半導体(T-Head)は29日、同社の最新AI(人工知能)チップ「真武810E」を発表した。以前に中国中央電視台(CCTV)の「新聞聯播」で紹介されていた、アリババが自社開発したPPU(並列処理ユニット)を使用した半導体として初めて姿を現したものだ。
アリババは、AIスーパーコンピュータ「通雲哥」、全スタック自社開発の半導体を担う平頭哥、アジア太平洋地域最大級のクラウド基盤である阿里雲智能(アリババクラウド、Alibaba Cloud Intelligence)、そして世界最強クラスのオープンソース大規模言語モデル「千問(Qwen)」を兼ね備え、チップアーキテクチャ、クラウド基盤、モデル構造の三層で協調的な技術革新を進めている。これにより、アリババクラウド上での大規模言語モデル(LLM)の学習および推論において、最高水準の効率を実現する狙いだ。現在、世界で大規模モデル、クラウド、半導体の三分野すべてにおいてトップクラスの実力を持つ企業は、アリババと米Google(グーグル)の2社のみとされている。
愛集微などの報道によると、PPU「真武」はすでにアリババクラウド上で複数のクラスターとして導入されており、国家電網、中国科学院、小鵬汽車(XPeng)、新浪微博(Weibo)など400社以上の顧客にサービスを提供している。
平頭哥の公式説明によれば、「真武」は自社開発の並列計算アーキテクチャおよびチップ間相互接続技術を採用し、ソフトウェアからハードウェアまで完全な自社開発を実現している。96ギガバイト(GB)のメモリ「HBM2e」を搭載し、チップ間接続帯域は700GB/sに達する。用途はAI(人工知能)学習、AI推論、自動運転など多岐にわたる。アリババはすでに「真武」をLLM「千問」の学習・推論に大規模投入しており、アリババクラウドのAIソフトウェアスタックと組み合わせた深度最適化により、統合型の製品・サービスを顧客に提供している。
業界関係者によると、主要な性能指標を比較した場合、「真武」の総合性能は米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の「A800」や主流の中国国産GPU(画像処理半導体)を上回り、「NVIDIA H20」と同等水準にあるという。さらに海外メディアの最新報道では、改良版「真武」は「NVIDIA A100」をも上回る性能を示すとされている。複数の業界関係者は、「真武」PPUは性能の安定性と高いコストパフォーマンスで評価が高く、市場では供給が追いつかない状況だと語っている。
今回の「真武」の正式公開は、平頭哥が長年にわたり半導体分野で積み重ねてきた技術力を示すものでもある。アリババは2009年にアリババクラウドを立ち上げ、18年に平頭哥を設立、19年には大規模言語モデル研究に着手した。17年に及ぶ戦略的投資と垂直統合を経て、ついに「通雲哥」によるフルスタックAI体制を完成させた形だ。
1月26日には、通義実験室が千問のフラッグシップ推論モデル「Qwen3-Max-Thinking」を発表し、複数の権威ある評価で世界新記録を樹立。性能はGPT-5.2やGemini 3 Proに匹敵するとされる。世界最大のAIオープンソースコミュニティであるHugging Faceの最新データによれば、千問オープンソースモデルを基にした派生モデル数は20万件を突破し、ダウンロード数も10億回を超え、世界トップの地位を維持している。



