宇樹科技、新型人型ロボット「H2」を発表 バレエやカンフーも

中国ロボット開発の杭州宇樹科技(Unitree Robotics、浙江省杭州市)は20日、同社第4世代となるヒューマノイドロボット「H2」を発表した。身長180センチ、体重70キロで、前モデル「H1」から大幅な進化を遂げ、より滑らかな動作と人間に近い挙動を実現した。
見た目の体格も“人間らしさ”が増した。H1の重量は約47キロだったが、H2では70キロに増加。関節の総数も31箇所と、7月に発表された入門モデル「R1」(26箇所)から約19%増加した。両腕には各6関節(計12)、両脚には各7関節(計14)、胴体部に3関節が配置されており、さらに用途未公開の機能関節が2箇所あるという。
それでも動きは重くならず、むしろより自然で流れるような動作が可能になった。宇樹科技が公開した映像では、H2が舞台上でバレエを披露。しなやかな手足の動きは優雅そのもので、中国武術の型も軽々とこなしてみせた。片足立ちや蹴り、攻撃ポーズなども滑らかに再現し、ぎこちなさは感じられない。加えて、H2には“人の顔”が与えられた。ネット上では「これまでで最も人間に似たバイオニックロボット」「SF映画が現実になった」といった声が寄せられている。
改良された関節制御とバランスアルゴリズム、高性能なAI(人工知能)制御によって、70キロの重量を自動で制御しながら多様な動きを実現。産業用の巡回点検や倉庫搬送などの自動化用途から、家庭向けのエンタメ、危険地帯や閉鎖空間での作業代行、さらには24時間の介助や生活支援まで、活躍の場は拡大しつつある。
宇樹科技はこれまでに、2023年8月発売の高性能モデル「H1」、24年5月発売の「G1」、25年7月の「R1」など、用途別に3種類のヒューマノイドロボットを展開してきた。中でも「H」シリーズはフルサイズモデルとして開発が続けられており、昨年末の中国中央電視台(CCTV)の春節(旧正月)特番では、H1が花柄の衣装を着て“踊り”を披露して注目を集めた。
中国では近年、ロボット産業が急速に成長しており、関係企業の平均成長率は50〜100%に達するという。宇樹科技のH2は、1986年の中国SF映画『錯位』で描かれた「人の代わりに働くロボット」の構想を、現実に近づける存在として注目されている。



