TCL、134億元で韓国LGディスプレイの広州工場を完全買収
中国ディスプレーパネル大手のTCL科技集団はこのほど、持株子会社、TCL華星光電技術(広東省深セン市)が総額134億元を投じて、韓国LGディスプレイ(LGD)が所有する広州市の大型液晶ディスプレイ(LCD)工場2カ所を完全買収したと発表した。大型LCD市場でのシェアの拡大を狙う。
TCL科技の発表によると、TCL華星は11日、26億1500万元(約559億6100万円)で広州の2工場を運営する楽金顕示(中国)(LGDCA)の20%持分を取得した。TCL華星は昨年9月、108億元を投じてLGDCAの80%、金型会社の楽金顕示(広州)の100%株式を買収すると発表しており、今回の取引でLGDCAの株式100%を完全買収したことになる。
LGDCAの主な製品は、テレビや業務用ディスプレイ向けの大型LCDパネルで、設計月産能力は18万枚。2024年1〜10月までの売上高は65億4000万元、純利益は2億4000万に達した。金型工場である楽金顕示(広州)の月産能力は230万台で、24年上半期(1〜6月)の売上高は64億8000万元、純利益は4億6500万元だった。
TCLは今回の買収について「規模の拡大、大型製品に対するユーザーの需要への対応、業績の拡大という3つのメリットがある」としている。
TCLの経営陣は、昨年8月から政府の購入補助金の対象となっている75インチ、85インチ、98インチの超大型テレビ製品の販売を強化する意向を示していた。
一方、TCL華星にとっては顧客企業の拡大も見込める。LGDCAを買収する前、TCL華星の顧客は主にサムスン電子、TCL、MOKAだったが、 買収後完了後は、世界のメーカーへの販売を拡大し、業績を向上させることができると見込んでいる。
■大型パネルはLCDが主流
TCLが20年にサムスンが江蘇省蘇州市に持つLCD工場を買収した際、李東生董事長(会長)は「サムスンがLCDから撤退した理由は、同技術の市場がないからではなく、効率性の面で中国企業に太刀打ちできないからだ 」と分析していた。
サムスン、LGディスプレイの2大韓国パネルメーカーは、より先進的なOLED(有機ELパネル)に事業を集中している。 李董事長は先頃、中国中央電視台(CCTV)のインタビューに応じ、「コスト効率と競争力の観点から、大画面ディスプレイでは液晶ディスプレイ(LCD)に取って代わる技術はない」と強調し、LCDが大型ディスプレイの主流技術であることに変わりはないと楽観的な見方を示している。