米国、韓国企業の中国国内半導体生産能力に照準
サムスン西安・SKハイニックス無錫が「戦略的リスク」に

米下院の米中戦略競争特別委員会のジョン・ムーレナール委員長(共和党)は9月30日、マルコ・ルビオ国務長官に書簡を送り、韓国と中国の関係が深まっていることへの監視を強化するよう米政府に求めた。書簡では、米中韓3カ国の首脳・高官交流、台湾問題、韓国内における米中企業への規制などが取り上げられた。半導体分野では、サムスン電子の西安工場と、SKハイニックスの無錫・大連工場が特に名指しされた。
ムーレナール氏は、中国に置かれた韓国企業の半導体生産能力が、中国政府が同盟国の技術生産に影響を及ぼすための「てこ」になる可能性があると指摘している。これは、米国の同盟国の半導体産業に対する関心が、「どのような装置を使っているのか」という問題から、「重要な生産能力をどこに置いているのか」という問題へ移りつつあることを意味する。
今回、名指しされた工場はいずれも重要な役割を担っている。サムスンの西安拠点はNAND型フラッシュメモリーを生産しており、同社にとって最も重要な海外メモリー半導体生産拠点の一つだ。台湾の調査会社TrendForce(トレンドフォース)が今年、業界関係者の情報を基に試算したところ、2025年には中国での生産がサムスンのNAND総生産量の30~35%を占めたとされる。
一方、SKハイニックスの無錫拠点は、長年にわたりDRAMの生産を担ってきた。同社自身も同工場を「最大規模の海外生産拠点」と位置付けている。
TrendForceによると、2025年には中国の工場がSKハイニックスのDRAM生産量の35~40%、NAND生産量の40~45%を占めたとみられる。つまり、サムスンとSKハイニックスを米国のAI・データセンター向けサプライチェーンの重要な構成企業とみなすなら、そのメモリー半導体の相当部分が実際には中国に置かれていることになる。これが、米国が近年、対中半導体政策を相次いで強化してきた背景だ。
米国、韓国企業への設備輸出政策を転換
2023年、米国はサムスンとSKハイニックスの中国工場に対し、「認証済み最終需要者(VEU)」の資格を付与した。これにより両社は、半導体製造装置の一部について、出荷ごとに個別の許可を申請することなく輸入できた。
しかし2025年、米商務省はこの扱いを取り消した。米政府は原則として、両社が中国にある既存工場の操業を維持することは認める一方、中国国内での生産能力拡大や技術高度化については承認しない方針を明確にした。この政策変更は、2025年12月31日から発効した。その後、サムスンとSKハイニックスは2026年度の装置輸入許可を取得したものの、政策は長期的な免除措置から、ワシントンの継続的な承認を必要とする制度へと変わった。
中国製装置の評価という皮肉
この政策転換は、皮肉な結果をもたらしている。ロイター通信は今年8月、サムスンとSKハイニックスが近年、中国の中微半導体設備(AMEC)のエッチング装置を評価していると報じた。米国が中国工場への欧米製装置、保守サービス、交換部品の供給をさらに制限する事態に備えるためだという。
サムスンとSKハイニックスは、中国工場向けに中微の装置を試験したことを否定している。しかしロイターは関係者の話として、こうした評価が約2年間続いていると伝えた。
米国は装置輸出規制を通じて、中国半導体産業が先端技術を獲得する能力を低下させようとしている。ところが韓国企業にとって、米国製装置が将来的に中国工場へ入りにくくなれば、現実的な代替策は中国製装置をさらに調達することになる可能性がある。
問われる「中国依存」の地理的リスク
ムーレナール氏が今回提起した問題は、単なる輸出規制からさらに一歩踏み込んだものだ。これまで米国の基本的な考え方は、韓国企業が中国で生産を続けることは認めるものの、重要な装置を導入するには米国の許可を必要とし、生産能力や技術を無制限に高度化することは認めないというものだった。
しかし現在、米議会の一部議員はさらに踏み込んで、「これほど大規模な同盟国企業の生産能力が長期的に中国に置かれていること自体が、サプライチェーン上のリスクではないか」と問い始めている。
両者の違いは大きい。この考え方が米政府の政策にまで広がれば、サムスンの西安工場やSKハイニックスの無錫・大連工場が抱える長期的な圧力は、単に「米国製装置を購入できるかどうか」という問題にとどまらなくなる。将来的には、「これらの生産能力を中国から段階的に移転すべきか」という問題に発展する可能性がある。
韓国勢の中国撤退は容易ではない
もっとも、サムスンとSKハイニックスが短期間で中国から撤退することも現実的ではない。数十年かけて構築してきた工場、サプライヤー網、技術者の体制、そして巨額の既存投資があるためだ。生産拠点の移転は、工場を別の場所に単純に複製するような作業ではない。
また、米国自身も韓国製メモリー半導体に大きく依存している。AIブームによってHBM、サーバー向けDRAM、企業向けSSDの需要が急増するなか、中国にある既存の生産能力を急速に縮小すれば、米国のテクノロジー企業への供給がかえって不安定になる可能性もある。
米国の要求はこれまで、中国が先端装置を入手することを制限することに重点を置いていた。しかし現在は、同盟国のサプライチェーン全体について、地理的な面でも中国への依存を低減するよう求める方向へ移りつつある。




