SpaceXの超大型IPO、マスク氏は兆万長者に

米宇宙探査テクノロジー企業SpaceX(スペースエックス)は12日、史上最大規模の新規株式公開(IPO)を完了した。創業者のイーロン・マスク氏は世界一の富豪としての地位をさらに盤石なものとし、史上初の「兆万長者(トリリオネア)」となった。

SpaceXは12日の終値で19.22%高となり、時価総額は2兆1000億ドル(約336兆0000億円)に達した。フォーブスの長者番付によれば、マスク氏の個人資産は1兆1000億ドルに達したという。同時に、今回のIPOの引受幹事を務めたゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどウォール街の投資銀行も、巨額の収益を手にした。

今回の発行に参加した引受会社は計23社にのぼり、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガン・チェースといったウォール街の大手投資銀行がいずれも名を連ねた。すべての引受会社は株式の配分を受け、それに応じた引受手数料を得ることができる。

SpaceXの上場初日、市場に流通した株式は発行済み株式総数のわずか4.2%にとどまり、需給は逼迫、購入意欲は旺盛で、株価が短期的に急騰した。しかし同社の株価売上高倍率(PSR)はすでに112倍を超えており、EV(電気自動車)大手のTesla(テスラ)の15倍や半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)の約20倍を大きく上回っている。

一方、SpaceXの事業は「一極黒字・二極赤字」の構造を呈している。目論見書によれば、低軌道衛星インターネットサービス「Starlink(スターリンク)」事業の昨年の売上高は113億9000万ドルに達し、SpaceX全体の売上高の61%を占めた。25年末時点ですでに1000万人超のユーザーにサービスを提供しており、同社はさらに周波数帯域の取得や1万5000機の衛星追加による直接スマートフォン接続サービスの展開を計画しており、潜在的には世界約60億台の携帯端末ユーザーをカバーし得る。

ロケット打ち上げ事業は再利用技術を武器に、世界の商業ロケット打ち上げ市場で約80%のシェアを握っているものの、昨年は6億5700万ドルの赤字を計上した。さらにスターシップが有人火星着陸を実現するためには、引き続き多額の資金投入と技術の継続的な進化が求められる。

生成AI(人工知能)事業の「xAI」および将来の宇宙コンピューティング事業は「資金を燃やし続ける穴」と見なされている。ある機関の試算によれば、現在の赤字ペースが続いた場合、xAI単体の事業だけで今後4四半期以内にスターリンクの利益を食い尽くす可能性があるという。目論見書によれば、SpaceXは02年の創業以来、累計損失が413億ドルに達している。

こうした事業のファンダメンタルズは、各機関の企業価値評価を大きく分断させている。SpaceXのIPO引受幹事を務めるモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどの投資銀行は、スターリンクの競争上の優位性とAI事業の成長ポテンシャルを評価して強気の姿勢を示す。一方、デンマークの年金基金などの長期投資機関は時価総額の過大評価を直接指摘し、キャッシュフロー割引モデルによる試算では適正時価総額は1兆ドルを超えるべきではないとの見方を示している。安定志向の資産運用機関フィデリティに至っては、SpaceXの企業価値の約30%はマスク氏の個人ブランドとAIコンセプトによるプレミアムだと率直に述べている。

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