アリババ、AIスマートグラス発売、消費者向け市場を狙う

中国IT大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)はこのほど、AI(人工知能)技術を搭載したスマートグラス「Quark AI 眼鏡」を発売した。競争が激化する消費者向けAI市場で存在感の強化を図る。

Quark AI 眼鏡は今年7月に初公開され、上位モデル「S1」(3799元〜)と普及モデル「G1」(1899元〜)の2種類がラインアップされている。アリババは同社の大規模言語モデル(LLM)「通義千問」を本製品に統合し、新たな通義千問アプリとも連携。ユーザーは音声でさまざまな操作を行える。

レンズ自体がディスプレイとして機能し、フレーム内部にはカメラを搭載。S1とG1の主な違いは表示品質にあるという。搭載機能は、リアルタイム翻訳、AIによる会議メモ作成、バーチャルアシスタントへの質問など多岐にわたる。レンズ内カメラで商品を撮影すると、アリババの主要ECアプリ「淘宝(タオバオ)」で価格情報が表示される仕組みも備える。

アリババはMeta(メタ)など米IT大手と同様、スマートグラスがスマートフォンに次ぐ次世代の主要コンシューマー機器になるとみて、積極的に投資を進めている。今年9月にはメタが799ドル(約1万7578円)の「Meta Ray-Ban Display」を発表し、ジェスチャー操作対応ディスプレイ付きの初めての消費者向けモデルとして話題を呼んだ。

アリババのAIスマートグラスはまず中国国内で販売され、小米(シャオミ)やスタートアップのXREALなどと競合する。市場規模こそまだ小さいものの成長は著しく、OmdiaはAIグラスの世界出荷台数が2026年に1000万台を突破し、25年から倍増すると予測している。

アリババにとって今回の製品は、消費者向けAI戦略を強化する最新の取り組みだ。同社の通義千問アプリは公開1週間で1000万ダウンロードを達成し、AI関連収益の多くを担うクラウド部門も前四半期に成長が加速した。

中国AI領域の主要プレイヤーであるアリババは、百度(バイドゥ)や騰訊(テンセント)とともに積極的な投資と新モデルの投入を続けており、消費者向けAIデバイス市場でも主導権争いが本格化しつつある。

千问首个硬件载体 夸克AI眼镜正式发布

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