華為、AIストレージ向け独自SSDを発表

(華為の発表より)

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)は27日、AI(人工知能)サーバー向けSSD製品「Huawei OceanDisk EX/SP/LCシリーズ」を発表した。最大容量は単体で122TBから245TBに達し、業界最大規模を誇る。AI SSDはAIワークロード専用に最適化された高性能・大容量のSSDで、華為独自の中核技術を搭載することで、中国製SSDのブレイクスルーにつながると期待されている。

AIアプリケーションの普及に伴い、データ規模は指数関数的に拡大している。従来の「テキスト中心」から「マルチモーダル」へと進化し、学習・推論に必要なデータ量も爆発的に増加しているためだ。フ華為の副総裁でデータストレージ事業部プレジデントの周躍峰氏は同日、「深刻化する“メモリーの壁”と“容量の壁”は、AIの学習・推論効率と体験のボトルネックになっている。これはITインフラの性能とコストに大きな挑戦を突き付け、AIの健全な商業循環を阻害する要因だ」と指摘した。

実際、課題は複数の段階で顕在化している。まず、データ収集の段階では「保存しきれない」問題が深刻だ。6710億パラメータ規模の大規模言語モデル(LLM)をトレーニングするには3.5PBのデータが必要とされる一方、インターネット上のコーパスはすでに350PB(テキスト)から154ZB(マルチモーダル)へと急増し、従来のストレージでは対応が困難になっている。

次に、学習段階では「動かない」問題が浮上する。6710億パラメータのモデル微調整には13.4TBのメモリーと168枚のGPU(画像処理半導体)カードが必要で、一体型サーバーでの運用は不可能。効率と柔軟性を大幅に制限している。

さらに推論段階でも「遅すぎる」問題がある。現在のTTFT(最初のトークンが出力されるまでの時間)は平均1000msで、米国大モデルの2倍。TPS(毎秒トークン生成数)は平均25token/sで、米国モデルの1/10に過ぎない。こうした低速応答はユーザー体験と業務効率を著しく損なっている。

こうした背景から、高性能AI SSDが業界の新たな選択肢として浮上している。しかし現状、SSD市場の大部分は海外勢が支配している。米調査会社TrendForceによれば、2025年第1四半期(1〜3月)における世界企業向けSSDシェア上位5社は、韓国サムスン、SKハイニックス、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)、日本のキオクシア、米Sandisk(サンディスク)となっている。中国ではストレージ容量は急速に増加しているが、主力は従来HDD(ハードディスク)であり、高度なストレージ技術は後れを取っていた。

しかし近年、華為や曙光、浪潮、長江存儲などの企業が積極的に取り組みを進めており、国産メーカー独自の道を切り開きつつある。現在のサーバーストレージは依然としてHDD中心だが、AI用途ではSSDの省電力性・効率性・低運用コストの優位性が顕著であり、導入が急速に進んでいくとみられている。

データによれば、24年のサーバーストレージにおけるSSD比率は9~10%と見込まれ、28年にはAIサーバーにおけるSSD需要比率が20%にまで高まる見通しだ。国内市場では大容量QLCフラッシュの本格採用は進んでいないものの、将来的にはQLC SSDがHDDを置き換え、「容量重視」から「性能と容量の両立」への産業転換が進むと予測される。その過程で、華為などの技術革新とエコシステム構築は、AIストレージ産業の成熟を加速させるとみられる。

さらに注目すべきは、最近の「中国算力大会2025」で公表されたデータだ。今年6月末時点で中国の総計算力規模は1680EBに達し、(1)地域的な段階的配置、(2)ラック単位での高密度化、(3)フラッシュ普及率の上昇という3つの特徴が明らかになった。また先端分野での活用も進んでおり、全国の外部フラッシュ比率は28%超、金融・製造・インターネットの3業種では45%を超える普及率を記録。ストレージインフラはすでに高度化の段階に突入している。華為のAI SSDは、こうした転換期において中国ストレージ産業の新たな成長エンジンとなるか注目される。

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