世界のトップAI研究者、約5割が中国出身

人工知能(AI)人材の分野で中国が世界をリードしている。米シカゴのポールソン研究所にあるシンクタンクのMacroPoloがまとめた「世界AI人材追跡報告」によると、AI研究で世界の上位20%に入るような「AIトップ研究者」は、母国が中国である人材の比率が22年に47%に達し、米国の18%を超えた。

米国の研究機関で働くAIトップ研究者に絞ってみても、22年は中国出身が38%と、米国出身(37%)を超えた。19年の同比率は中国が38%、米国が31%だった。

世界上位2%のAIの超トップ研究者も、19年は10%だった中国出身が22年に26%に増えて米国の28%に次いだ。

こうした変化の背景には、中国が力を注ぐAI教育投資がある。中国におけるSTEM(科学・技術・工学・数学)過程の卒業生は年間500万人を超えており、世界トップレベルだ。

米ジョージタウン大学は、中国の大学におけるSTEM関連の博士課程修了者数は過去10年で著しく増加しており、2025年に米国の2倍の規模に達するとの予測を示した。

AI研究をリードする世界トップ25社・機関で、中国は19年に清華大学と北京大学が入ったのみだったが、22年は同2校に中国科学院、上海交通大学、浙江大学、華為(ファーウェイ)を加えた6社・機関に増えた。

出身大学別でみれば、中国は世界をリードするAIトップ研究者を世界で最も多く輩出している国だ。しかし、これらの人材の半数は大学学部を卒業後に海外の大学院(主に米国)に進み、現地のスタートアップ企業に就職しているという現実は、中国の課題ともいえよう。

中国のAI人材の報酬相場は国内の業界の平均値をはるかに上回るものの、米国をはじめとする先進国に及ばない。報酬面だけでなく、AI産業の発展レベルも米中で大きな開きがある。

CB Insightsの統計によると、23年に世界のAIスタートアップが調達した資金の総額は、米国企業による調達で46%を占めた。中国企業の調達額は相対的に少なく、この米中の差は、各国AIスタートアップの技術開発やマーケティングなど分野への投資と事業の進ちょくに影響したとみられる。

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