中国企業の産ロボ投資再び活発化、需要拡大期へ

中国で産業用ロボットへの投資が水面下で活発化している。産業用ロボット業界は足元で構造調整の“陣痛期”にあるものの、企業の投資の動きから判断して、中国の産業用ロボット需要は新たな拡大サイクルに入ると予想されている。高度化する人工知能(AI)をロボットに搭載する動きも活発化している。

産業用ロボットは、多関節マニピュレータ、ロボットアーム、多自由度機械装置の利点を生かし、溶接、ハンドリング、パレタイジング、スプレー、ロードおよびアンロードなどで広く活用されている。

設備メーカーの唐山冀東装備工程は4日、セメント工場向けの清掃ロボットを開発したと発表した。粉体原料が入った円筒形のサイロ建物を人に代わって自動清掃することができ、作業の安全性を高められるという。

ハイエンド装置やスマート製造ソリューションを提供する江蘇亜威機床股フンは3日の投資家向け説明会で、産ロボやインダストリアル・インターネットなどのスマート製造向けサービスを引き続き掘り下げていくと表明した。同社はこれまでに、水平多関節ロボ、特殊ロボなどを開発した。

■LLMを搭載へ

ソフトウエア開発などを手掛ける中科創達軟件(サンダーソフト、北京市)傘下の重慶創通聯達智能技術は、6月末に開幕した「2023上海世界移動通信大会」で、大規模言語モデル(LLM)を実装した搬送ロボットを発表した。より自然なコミュニケーションが可能となり、より深く人の指令を理解できるという。

中国スマートフォン大手の小米科技(シャオミ、北京市)は4月、ロボット事業を手掛ける新会社を設立した。AI搭載ロボットなどを開発する。大規模言語モデル(LLM)の生成AIを搭載したロボットを開発する計画とされている。

■異業種からの参入も

産ロボ分野への新規参入企業も相次いでいる。ショート動画アプリ「TikTok」などを運営する字節跳動(バイトダンス、北京市)は、ロボット開発チームを立ち上げた模様だ。現在50人のチーム規模を年末までに100人に拡大し、自社のEC(電子商取引)サービス向けに作業する物流ロボットを開発・生産する計画とされる。

中国のレーザー機器メーカーの大族激光科技産業集団(広東省深セン市)は2月、広州市に産業用ロボット製造などを手掛けるスマート設備の新会社を設立した。機械向け送風機メーカーの山東省章丘鼓風機股フン(山東省済南市)も5月、新設されたスマート技術開発会社に投資し、スマート製造設備や産業用ロボットの販売、デジタル技術サービスなどを手掛けると発表している。

中国国家統計局によると、2023年1月から5月までの中国における産業用ロボットの累計生産台数は前年同期比5.3%増の18万2,161台、うち5月単月は前年同月比3.8%増の4万175台だった。 産業調査会社の高工産研によると、政府による支援政策と協働ロボットなどの活用拡大で、国内ロボット市場は24年には251億米ドル(約3兆6,000億円)に達すると予想されている。

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