中国MiniMax、「M3.1 Flash」を発表 国産大規模AIモデルの新たな競争領域へ

(MiniMaxの発表より)

中国のAI企業、MiniMaxは19日夜、コーディング向けLLM「M3.1 Flash」を発表した。複雑なAIエージェント(Agent)タスク、コンピューター操作、ソフトウエア開発、サイバーセキュリティーなどの分野で性能が大幅に向上した。複数段階の計画立案、連続的なツール呼び出し、長時間にわたるタスク実行を必要とする業務で、特に高い能力を発揮するという。また、オンライン推論速度は約3倍に向上し、利用コストは70%削減された。

複雑なタスクへの対応力と自動化能力については、M3.1 Flashは「AutomationBench-AA」で最上位クラスの成績を記録した。複数のSaaS(サービスとしてのソフトウエア)を横断する実際の企業業務ワークフローでは、営業、マーケティング、運営、カスタマーサービス、財務、人事などの実務課題を一貫して処理できるという。

また、金融業務に関する評価指標「BankerToolBench」では76.2点を獲得した。複数段階の計画立案、複数の文書・ファイル間での整合性確保、金融業務におけるコンプライアンス対応、ツールを連鎖的に活用する処理など、実務上の複雑な課題への対応力が強みとなっている。

プログラミングとソフトウエアエンジニアリングの分野では、「DeepSWE v1.1」評価で73.7%を記録し、長い工程を伴うタスクを遂行する能力を示した。これにより、複雑なソフトウエア開発ワークフローを、より低いコストで支援できるとしている。

コンピューター操作と専門業務の実行能力も、今回のアップデートにおける重点分野だ。AIによるコンピューター操作やアプリケーションを横断したタスク実行能力を測る「OSWorld V2」では61.7点、実際の専門業務や複雑なタスクの完遂能力を評価する「Agents’ Last Exam(ALE)」では29.6点を獲得し、いずれも中国国産モデルの中で首位に立ったという。

サイバーセキュリティー分野では、「CyberGym」ベンチマークテストで82%の高得点を記録し、脆弱性の発見・検証能力の高さを示した。社内のセキュリティー専門家による詳細な評価でも、コード監査、脆弱性の修正、侵入テスト、悪意あるコードの分析、リバースエンジニアリングなどの領域で優れた性能を発揮したという。低コストかつ高効率で、複雑なセキュリティー体制の構築を支援できるとしている。

M3.1 Flashでは、推論効率もさらに改善された。より積極的なスパース注意機構を採用し、日常的な利用シーンでは出力速度が毎秒200トークン(TPS)を超え、中央値(P50)でも毎秒170トークン以上を安定して確保する。AIエージェント型タスクにおける総合的な利用コストは、前世代モデルの約30%に抑えられたという。

性能向上に加え、M3.1 FlashではAPIの利用料金も引き下げられた。100万トークン当たりの入力料金は1元、出力料金は4元、キャッシュ読み取り料金は0.1元となる。入力コンテキストが512Kトークン以下の「M3」と比較すると、入力・出力の単価はいずれも50%超引き下げられ、キャッシュ読み取り単価は70%超低下した。

国産Flashモデル、複雑なタスクの攻略へ

10月17日には、DeepSeekも「V4.1 Flash-1017」をアップデートした。完全なプロジェクトの開発能力を重点的に強化するとともに、出力の短縮とタスク実行時間の削減によって、処理効率の向上を図った。

両社が相次いでモデルを更新したことで、複雑なタスクをめぐる中国国産Flashモデル間の競争は一段と鮮明になっている。Flashモデルは、複雑な業務を担う中核的な選択肢へと近づきつつある。

公開ベンチマークの結果を見ると、中国国産FlashモデルはプログラミングやAIエージェント関連の評価で、海外の有力なクローズドモデルと競争できる水準に達しつつある。一方で、API料金の低さも維持している。

開発者にとって、Flashモデルの進化は、より低いコストで複雑な業務を処理できることを意味する。モデルのタスク遂行能力が高まるにつれ、競争の焦点は、単に作業を完了できるかどうかだけでなく、再試行や手戻り、人手による介入をどれだけ減らせるかという、タスク全体の完遂効率へと広がっている。

能力、速度、コストの3要素を同時に改善できて初めて、より多くの業務でAIの高頻度利用が進む可能性がある。

業界関係者は、この分野でDeepSeekとMiniMaxはそれぞれ異なる強みを持つと指摘する。公開されている比較結果によると、DeepSeek V4.1 Flash-1017はソフトウエアエンジニアリングの評価でより高いスコアを記録する一方、M3.1 Flashは複数のSaaSを横断する業務ワークフローやサイバーセキュリティーなどの分野で優位性を示している。

両モデルは、開発者や企業が用途に応じて使い分ける補完的な選択肢となり得る。中国国産Flashモデル市場では、互いを比較対象としながら性能向上を競う製品群が形成されつつある。

MiniMax M3.1 Flash: Redefining Agent Performance and Cost – MiniMax Research | MiniMax

Tags: , ,

関連記事