米エヌビディア、ガラス基板の導入を加速

米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)は、半導体チップ向けガラス基板の実用化を本格的に推進している。サプライチェーン各社に対し、2年以内に量産化に向けた技術課題を克服するよう求めており、2028年には次世代GPU(画像処理半導体)製品にこの技術を導入する計画だ。AI向け大型チップが長年抱えてきた性能上のボトルネックを解消する狙いがある。
現在、AIチップは大型化が進んでいる。一方、従来の有機基板は熱安定性に課題があり、チップの動作時に反りや変形が生じやすい。その結果、高性能半導体パッケージの歩留まりや信頼性が制約されている。こうした背景から、ガラス基板は有力な代替技術とみられている。
エヌビディアは、ドイツの製造装置メーカーSCHMIDと連携し、TGV(Through-Glass Via、ガラス貫通ビア)技術の開発を重点的に進めている。TGVは、ガラス基板パッケージの中核技術であり、信号伝送密度、インピーダンス制御、放熱性能を直接左右する。ガラス基板の量産化に向けて、最も突破が難しい工程の一つでもある。両社は関連加工装置とプロセス技術を共同開発し、ガラス貫通ビアの製造における装置面の不足を補うとともに、工程全体の一貫化を目指している。
サプライチェーン全体を巻き込んだ協力体制も進んでいる。エヌビディアは、台湾積体電路製造(TSMC)や、日本、韓国、台湾の基板メーカーに対し、ガラス基板の開発を並行して進めるよう働きかけている。チップ設計側が主導し、ウエハー製造と基板材料の各工程を連携させながら検証を進める。基板材料、TGV加工、先端パッケージまで、サプライチェーン全体で技術検証を行うことで、特定の工程の遅れが全体の進捗を阻む事態を回避する狙いだ。
資本面での布石もすでに進んでいる。エヌビディアはこれまで、米ガラス大手コーニングに最大27億ドル(約4257億円)を投資し、ガラス原材料の供給と材料研究開発の能力を確保した。
ガラス基板の一連の技術が実用化されれば、大型AI GPUの放熱性能が大幅に向上する可能性がある。高温環境下での反りや変形のリスクを抑え、より高い演算性能と消費電力に対応する次世代AIチップの開発を支えることが期待されている。




